今、ドイツから帰国する途中、ドーハにトランジット中です。
Netflixで観た映画『HOKUSAI』に影響を受けて、『知られざる北斎』を読んでみました。
冒頭、著者が「日本文化に熱狂するヨーロッパ人の姿」を見るためにパリのジャパン・エクスポに向かうシーンで「お!?」っと思わされたのは、浴衣姿の著者がコスプレイヤーのフランス人から「その格好は何のコスプレなの?」と聞かれた質問!
先月、僕はインドのデリーで開催されたアニメイベント「MELA! MELA! ANIME JAPAN!! 2025」で抜刀術の演武をさせてもらいましたが、演武の直後、着物・袴姿だった僕に対してインド人のコスプレイヤーが聞いてきたのが全く同じ質問でした。
そして、著者がジャパン・エクスポで感じたように、僕はデリーで6万人ものインド人が集まる熱狂を肌で感じました。
本書は、今から遡ること約150年前の1870年から1900年ごろにかけて、パリを中心とするヨーロッパの各都市で、現代の熱狂に勝るとも劣らない「ジャポニズム」と呼ばれる、日本文化への偏愛、熱狂ムーブメントが起きていたという話でした。そして、その中心にあったのが北斎の作品!
ちなみに、1867年にパリで開催されていた万博には時の将軍の弟・徳川昭武や渋沢栄一が参加していたと書かれていたけど、完全に幕末のその時期に将軍の弟って、、、国内はかなり緊迫した状況だったんじゃないの???と思っちゃったりして、、
面白かったのは、約150年前も今も、2つの熱狂に共通しているのは、「一部の愛好家の熱狂」と「一般大衆の無関心」という構図だそうで、たしかに今も、世界でこれだけ日本文化が熱狂的に受け入れられていることを知らない日本人は多そうです。
数日前に訪れたイタリアの大手出版社GIUNTIで、「私たちは『武士道』も『五輪書』も『葉隠』も出版してて、これらの本は結構売れていますよ!」と、イタリア語に翻訳された本を見せてもらいましたが、果たしてそれらの本を読んだことのある日本人がどれだけいるのか?そして、そんなに人気があることを、どれだけの日本人が知っているのか?
例えば、北斎の「The Great Wave」(神奈川沖浪裏=『富嶽三十六景』全46図中の1図)は、ヨーロッパではダ・ヴィンチの「モナリザ」に匹敵する認知度があるらしいです。
ところで本書を読んで、北斎の何がビックリしたかって、絵筆一筋の生活を40歳から半世紀続けて、生涯で残した作品が34000点ということ。単純計算しても、1日約2点を50年間描き続けたということですよね。
それにしても、あの時代に誰がどうやってその熱狂を起こしたのか?本書はそこに関しても丁寧に書いていて、当時もグローバルビジネスにガンガン打って出ていた日本人がこんなにいたんだなー!ということを感じました。
Keiichi Toyoda Official Website
株式会社スパイスアップ・ジャパン(代表取締役)/神田外語大学(客員教授)/上智大学(非常勤講師)/NPO留学協会(副理事長)/グローバル人材育成/海外"殻破り"研修/ポジティブ・リーダーシップ研修/マインドセット研修/アルゼンチン育ち/上智大学卒業/IE University(スペイン)卒業/合気道(三段)/翡翠流抜刀術(四段)/著書『Mushin』など全20冊
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