「神仏などはおらぬ。おらぬが、それに似た何事かの原理で、この世は動いている。」
果たして、この世を支配する何かの原理のようなものが存在するのか?それは何なのか?を軸に進んでいく歴史小説『信長の原理』(上下巻)を読み終えました。
「それにしても、、と信長は改めて感慨に耽る。やはり、蟻の法則は人にも当てはまる。」と、少年時代の信長が蟻の動きを見て、なんでだろう??と思い、その原理を見出していくところからこの小説は始まります。
そして、最後の最後までその原理で話は進んでいくのです。本能寺の変で殺されるところまで。
いやー、面白かった。戦国武将を主人公にした小説は何冊も読んでいますが、現代の組織でもよく言われるその「原理」を切り口にしていくところが、そうなのかも、、、と思わされて、めちゃくちゃ面白く読み進めることができました。
その原則とは違いますが、読み始めてすぐに思ったのは、信長とチェーザレとの共通点です。
ご存知、マキャヴェッリが『君主論』を書いた時に「君主(リーダー)の理想像」としてインスピレーションを得たとされる、目的のためには手段を選ばないマキァヴェリズムの体現者、チェーザレ・ボルジア!
「武門の棟梁の第一義は、愛おされることではない。敵よりもむしろ、この俺を恐れてくれればいい。」
「尾張は他国に比べて犯罪がほとんど起こらない。なぜか。領民んは皆、信長の気性を恐れているからだ。」
このあたりは『君主論』に書かれている通りのリーダー像だと思いました。久しぶりに塩野七生さんの『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』を読み返したくなります。
あと、言い切り方が小気味良かったのは、「天国や地獄や、ろくでもない宗教の教義は、その不安をいくばくかでも払拭するための虚構に過ぎない。人間どもが生の無意味さと不安から逃れるために、誰かが作り出した方便に過ぎない。」というところ。
信長に言わせる形で宗教をぶった斬っていますが、これは著者の考えなんでしょうか。それとも、信長だったらこう考えただろうというだけなのか。でも、僕もほんとそう思っているので、ここには共感しかありません。
Keiichi Toyoda Official Website
スパイスアップ・ジャパン(代表取締役)/神田外語大学(客員教授)/上智大学(非常勤講師)/レインボータウンFM(ラジオパーソナリティ)/NPO留学協会(副理事長)/グローバル人材育成/海外"殻破り"研修/ポジティブリーダーシップ/変革マインドセット/アルゼンチン育ち/上智大学卒業/IE University(スペイン)卒業/合気道/翡翠流抜刀術/著書『人生を変える単純なスキル』など全19冊
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