『シン・日本の経営〜悲観バイアスを排す』に共感

日本はもうダメ!日本は終わってる!と言っている日本人が大嫌いで、東洋経済オンラインでも『「弱い日本」を悲観する人は、世界を知らなすぎる』『日本人の「内向き思考」を批判する人への違和感』という記事を書いてきた僕にとって『シン・日本の経営〜悲観バイアスを排す』には共感しかありませんでした。

本書で、ドイツ人経営学者の著者が「おそらく今の日本の最大の課題は「絶え間ない悲観と憂鬱」とでも呼ぶべき考え方が蔓延していることだろう。」と書いていましたが、ほんとそう思っています。

もちろん、日本もダメなことはたくさんあるだろうけど、それはどんな国でも何かしら問題はありますし、むしろもっともっとダメな状況の国ばかりと言ってもいいかもしれません。

著者も本書の中で、「言うまでもなく、日本には多くの深刻な問題があるが、それはどの国でも同じだ。日本の高齢化や人口減少、政府の債務、信頼に足る意思決定ができないリーダーの多さ、地方の過疎化、特定分野での競争力の喪失などは周知のとおりだ。」と書いていて、それは間違いないでしょう。

そういえば先々月、インドでタクシーの運転手からどこから来たんだ?と聞かれたので「日本から」と答えたら、「Oh, Japan is a strong country!!!」と言われたことが思い出されますが、日本にいて「日本は強い」なんて聞くことはなかなかないような気がします。

でも、本書で著者は、「本書を通じて、私が何よりも払拭したいのは、日本はもう終わりだとする考え方だ。そんなことはない。日本企業は力強く、機敏で、賢い新タイプのプレイヤーとして再浮上している。世界の製造なインフラ・システムに欠かせない多くの中間材や市場で、世界リーダーとして復活を遂げつつある。」と・・。そして、「日本は世間で言われるよりもはるかに強い。」と書き、その具体的な根拠をこれでもか!というくらいに書いていました。

ちなみに、今、日本が特に強いのは先端化学品で、その顔ぶれとしては、三菱化学、三菱マテリアル、三井化学、AGC、旭化成、信越化学工業、デンカ、DIC、東レ、クラレ、東京応化工業などだそうです。

もちろん、ただただ日本礼賛!という本ではなく、日本企業を冷静に分析しながら書いていますから、「経済成長率や経済規模で日本が再びナンバーワンになることはまず見込めない。それは起こりえないが・・」というのも共感するところ。

そして、僕は「日本企業の新しいポジションの強み」というのがよく分かっていませんでしたが、著者はそれを「ジャパン・インサイド」という単語で表していました。これは、なるほどーーと思わされる事実でした。

本書を振り返ってみると、あれもこれももっと書きたくなるくらい、いろんな発見がありましたが、日本人である私たちが日本を悲観することだけはやめたいなーと改めて思いましたし、強みをきちんと認識しつつ、危機感を持って切磋琢磨し続けたいと思った次第です。

ちょっと面白かったのは、「シリコンバレー流イノベーションのやり方は日本にはそぐわないし、ベンチマークの対象にすべきではない。」と書いてあったところ。シリコンバレー視察とかあまり興味ないなーと思っていましたが、なるほど、、、直感的にそれで良かったってことですね。笑

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Keiichi Toyoda Official Website

スパイスアップ・ジャパン(代表取締役)/神田外語大学(客員教授)/上智大学(非常勤講師)/レインボータウンFM(ラジオパーソナリティ)/NPO留学協会(副理事長)/グローバル人材育成/海外"殻破り"研修/ポジティブリーダーシップ/変革マインドセット/アルゼンチン育ち/上智大学卒業/IE University(スペイン)卒業/合気道/翡翠流抜刀術/著書『人生を変える単純なスキル』など全19冊